タペストリー (藍色のバナナの葉)

沖縄の庭先に、島バナナ
沖縄の庭先には、よく島バナナが植えられています。特に今でもおじぃーやおばぁーの家(おじいちゃんやおばあちゃんの家)の軒先には、島バナナの葉が風に吹かれて揺れ動いている光景をよく目にします。お隣の国であり沖縄からたった南西約640キロ離れたフィリピンがバナナの一大生産地の一つですが、そのスーパーでよく見かけるフィリピンバナナとは似ても似つかぬ不思議なバナナが沖縄の島バナナです。
海に囲まれた小さな島沖縄なので、海風が街々、家々の隅々まで吹き抜けて、庭先の大きなバナナの葉を触れ動かします。島バナナの葉が風に吹かれて、パサッ、パサッ、となびかせて出来る音も何ともいえない懐かしい感じを感じさせてくれる島バナナ。大きな葉が風に揺られながら、真夏の太陽の強い光を受けて葉の色の濃淡がキラキラ移り変わりとても神秘的な光景なんです。
太陽の光に重なって揺れ動く島バナナの葉
暑い、暑い、沖縄の真夏の正午、太陽が頭上の真上にいます。外にいると太陽から降り注ぐ太陽光で体が火照ってきてその太陽熱が身を焦がすので、オアシスを探して庭先の島バナナの木陰へ避難していたのを思い出します。島バナナの根元に転がって、空を見上げながら、風に揺れる大きなバナナの葉が音をたてて、パサパサ揺れ動く島バナナの葉が、太陽の光を遮ったり、太陽の光を感じさせたり、島バナナの葉が色とりどりの色彩へ変化していく様子を観察していました。
島バナナの大きな葉と海風が涼しさを感じさせてくれます。そんな一場面を切り取ったかのような空間を感じさせる力強い紅型作品があります。タペストリーで真夏の沖縄の風景を表現しています。粗い麻生地に、涼しさを感じさせてくれる藍色で染められた作品「藍色のバナナの葉」です。特に、島バナナの葉が海風を受けてゆらゆらと揺らめいている場面と同時に、太陽の光が島バナナの葉を刺してバナナの葉がキラキラ光り輝きながら放つ色の変化を大胆なスケッチで表現しています。


色使いの魔術師
紅型は、沖縄を代表する伝統工芸です。「紅」は色全般を指し、「型」は様々な模様をさしていると言われています。紅型の起源は、13世紀頃とされています。遙か昔の琉球王国の時代、王族や士族の衣装として染められ発展してきました。時代の推移とともに、宮廷のために生まれた紅型は一時衰退しましたが、現在は多くの方々の努力のおかげで伝統工芸紅型が見直され、天願さんのような方々によって大切に守られています。
「紅」が色全般を指しているように、紅型は色の配色がとても大切です。色が調和するように配色に神経を注ぎます。一つひとつのバナナの葉が単調にならないように、藍色を一色で塗り潰すのではなく、色の強弱をつけ、島バナナの葉が生き生きと輝くように心を砕きます。
鮮やかな原色に近い色が紅型の魅力ですが、個性の強い色を見事に調和させ、全く違和感を感じさせません。
配色によって作品に「いのち」を吹き込み、朽ちることのない「バナナの葉」をいつまでも見詰めていたくなりますね。
絵を描くことが大好き
独特の世界観と感性を持つ作家天願千恵(てんがん・ちえ)さんは、沖縄本島中部うるま市勝連生まれの生粋のうちなーんちゅ(沖縄の人)です。でもね、見かけはうちなーんちゅぽくないんです。なぜかというと、とても色白でやさしく落ち着いた雰囲気が漂っているので、一見ないちゃー(内地の人)に見えます。
天願さんは幼いころから絵を描くことが大好きでした。その傾倒ぶりは、一流の画家や陶芸家を凌ぐものです。幼稚園や小学校でお友だちと遊ぶより、絵を描いていたい。絵を描くことがとても楽しくて仕方がなかったそうです。生まれながらにして、芸術家の道を歩むべく生まれてきた天願さん。
その志を成就するため、沖縄県立芸大大学を卒業後、ある大型施設の紅型を扱う部署で約6年程修行を行い、少しの時期紅型から離れた時期を経て、現在に至ります。紅型から少し距離を置いた故に、心から私は紅型をしたい、と強く思ったそうです。

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販売価格(税込): 46,750 円