屋我平尋さん ― Glass Studio 尋

2015/10/27

人間の作りだした冷たい緊張感のある素材である。
光を受け、透かし、反射させ、屈折させ、あたかも自ら輝くような、華やかで美しく幻想的な世界を出現させ、人工ではあるが自然の輝きがそこにある。
自然に従う程よい形ができ、逆らえば醜くなる。人が作るものではあるが、半ば素材の恵みだといわねばならない。
ガラスがすねて割れてしまわぬよう、のびのびと作りたい。

琉球ガラス Glass Studio 尋


琉球ガラス画像

鮮やかな赤、吸い込まれるような青、温かみのある黄色、沖縄の日常風景をそのまま「色」で表現した“琉球ガラス”。
戦後、沖縄の新しい工芸として日々進化しながら作られる「琉球ガラス」の全貌を明らかにするべく、沖縄市にある琉球ガラス工房「Glass Studio 尋」代表の屋我平尋さんにお話を伺いました。

琉球ガラスの製作を始めるきっかけは?


東京で生活をしていたころに、ティファニーのガラスランプを見たんだけど、ガラス越しに見る光の表情がものすごく綺麗で、それでガラスの世界に飛び込もうと思ったんです。
この時からもう「琉球ガラス」は有名だったから、沖縄に戻って琉球ガラスをやろうと思っていろんな工房を見て回ったんだけど、当時の琉球ガラスはほとんどが原色をつかった作品でそれこそお土産用が多かったんです。
これは自分がする仕事ではないなと思って、ステンドグラスに携わることになりました。その後何年かして琉球ガラス職人の稲嶺盛吉氏との出会いがあって、琉球ガラスを始めましたね。

ステンドグラス画像

工房についてお聞かせ下さい


工房画像

工房をつくったきっかけは、ステンドグラスの技法を取り入れた琉球ガラスを作りたくて独立しました。
ステンドグラス職人から転身して琉球ガラス職人になったのは、県内でも私だけだと思います。ステンドグラスに「グル―チッピング」という技法があるんですが、これを宙吹きガラスに応用した作品もありますよ。
あと、この工房では宙吹きガラスとステンドグラスの両方を従業員に教えています。宙吹きガラスは体力がないとできないんですよ。息を吹き込んで作るので肺活量がないとかなりきついです。
年齢を重ねてもできるのがステンドグラスなので、生涯ガラス職人としてやっていけるようにしていますね。

作品のこだわりは?


さっきもグル―チッピング技法の話がありましたが、本来グル―チッピングは板ガラスなどの平面にしか施せないんです。それをコップ、ランプシェードなどの曲面に施したのはこの工房だけですね。
あとは「色」ですね。オリジナルの色を作ってますよ。発色は鉱物などでやるんですけど、少しの調合の差で色が変わりますし、また同じ調合でも窯の温度で発色も変わってきます。特に赤や黄色などの暖色系は難しいです。絵具を混ぜて色を作るみたいな感じにはいかないですね。
作成時は常に使いやすさを意識して作っています。例えば樽型のコップなんですけど、琉球ガラスでは定番の形なんですけど、やっぱり使いにくくて、特に女性にはちょっと大きすぎて扱いにくい。作品を作る際は「女性が使いやすい形」を意識しています。

琉球ガラス画像

今後の目標はなんですか?


ステンドグラスの原材料は、実は半分が輸入に頼っているのが現状です。「沖縄産」というならば原材料も地元で確保していく必要があるんですよ。
さらに「琉球ステンドグラス」というジャンルを確立して、普段使いができる物から建築資材としてのガラス製品などを作っていきたいです。
若い職人の育成は組合が中心になって行ってるので、自分の工房では家族で出来るような形にしたいですね。それこそ子や孫の代まで、ずっと「琉球ガラス職人」としてやっていきたいです。

Glass Studio 尋 屋我 平尋 プロフィール


1983年
ステンドグラスに携わる
1988年
吹きガラスを稲嶺 盛吉氏に師事
1989年
第41回沖展 入選
1990年
第42回沖展 入選
国際公募 亜細亜現代美術展 入選
九州グラスアート展 入選
1991年
第43回沖展 沖展賞
国際公募 亜細亜現代美術展 入選
1992年
沖縄タイムス芸術選賞秀作選抜
第44回沖展 奨励賞
第7回国民文化祭 石川92ガラス工芸展 入選
1993年
第45回沖展 沖展賞 準会員推挙
1997年
尋グラス工房 設立
2000年
第52回沖展 準会員賞
2004年
沖縄県工芸士の称号を得る

取材後記


琉球ガラス工房への取材とあって楽しみにしている反面、もしも昔気質の職人で「作業の邪魔すんじゃねぇ!」と言われはしないかと多少緊張しながら(笑)沖縄市は「知花グスク」の近くにある工房へお邪魔しました。
工房は作業場とショールームが併設されており、ショールームには所狭しとこの工房で生まれた色とりどりの作品たちが陳列されていました。そしていよいよ琉球ガラス職人で工房の代表者である屋我平尋さんへの取材がはじまりました。僕が予想していたおとりの、口数少ない「職人」像。しかし、琉球ガラスの話になると、ガラスを溶かす「溶融炉」のような熱い思いを語っていただきました。ここですべてをお伝えできないのは残念ですが、楽しくて、有意義な取材となりました。
代表の屋我さん、事務対応をしてくれた與那嶺さん、ありがとうございました!



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